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White Paper

日本の証券市場における
次世代テクノロジーの動向

新たなテクノロジーと
ソーシングモデルの胎動

日本の証券市場における

本稿は、日本の証券市場における次世代テクノロジーの動向を基軸に、市場参加者の取り組みと、レガシー&エコシステムマイグレーション、イノベーションとエマージングテクノロジーの可能性を提言する。

世界中の資本市場で、取引所関係者と市場参加者は、エマージングテクノロジーの評価と適用に取り組んでいる。セレントが先に発表した「世界の取引所CIOサーベイ」(2018年7月)によると、クラウド、AI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ブロックチェーンへの取り組み状況は、「適用済み」と「試行段階」を合わせた「取り組み中」の割合で、それぞれ70%以上と高い水準に達している。

日本の資本市場もその歩みを加速している。これまでの「証券決済革命」は15年以上の時間を要した穏やかな進展であった。今日の「金融インフラ革命」は、日本の市場参加者にどのような影響を与えているのか?

「日本の証券市場における次世代テクノロジーサーベイ2018」の総括

  • 変化のドライバーと足元の優先事項:
    • 革新のドライバーは、顧客需要の変化が最も強く、規制環境、市場構造、ビジネス環境の変化が続いた。IT投資の目的感は、コスト削減、ついで顧客サービスの改善。
    • IT投資の優先領域は、リサーチが最優先であり、プレトレード分析、取引分析が続いた。ITの実現方法は、サードパーティソリューション、共同開発、コンソーシアムが増加。
    • ITの実現方法について、サードパーティソリューション、共同開発、コンソーシアムが多数を占め、新ベンダーの採用も増加している。スクラッチからの新規開発は影を潜め、外部サービス利用を前提とした自社システムの改変、共同利用やコンソーシアム型の開発を志向する姿勢が明確であった。
  • 新技術への対応:
    • クラウド対応は大きく進展。回答者の7割近くが適用済み、試行段階も含めて3/4が既に舵を切っている。
    • エマージングテクノロジーへの取り組みも極めて積極的である。RPAは適用済みもしくは試行中との回答が90%、AI/ MLは80%が同様な回答、DLT/ ブロックチェーンにおいても、60%がPOC段階と回答した。
    • 新たなテクノロジーの実現方法についても、その変化は明らかであった。既存ベンダーとの協力体制を維持しつつも、新ベンダーの採用、パートナーシップや共同開発、コンソーシアムを加速するとの回答が主流を占めた。
  • 中長期の課題と取り組み:
    • 中長期のIT投資領域は、トレーディングライフサイクル全般に跨る。
    • 中長期の取り組み分野として、データ統合、プロセス統合、全体アーキテクチャの見直し、および基幹系刷新が残された課題と認識。
    • 日本の証券市場は、次世代テクノロジーの採用に加え、本来課題としての基幹系刷新に取り組む時期が迫っている。

市場参加者への提言

こうしたグローバルなCMIの現代化と、日本の証券市場における次世代テクノロジーの動向を踏まえて、セレントは以下の3点を提言する。

  • 全体最適化:資本市場テクノロジーの根源的な性格を十分に理解し、自社の現在のビジネスファンクション、データ、そしてITのみに拘泥するのではなく、常にキャピタルマーケッツ全体のバリューチェーンを鳥瞰し、自社のポジショニングとそこで必要な機能やデータの配置を最適化すること。
  • 最適化のための指標の設定:機能、データ、そしてITの最適化度合を計測する指標と基本デザインとして、TCAとIBOR(インベストメント・ブック・オブ・レコード)アーキテクチャを活用すること。TCAは規制上の要請である以上に、最適化のための指標となり得る。アセットクラス毎に、トレーディングライフサイクルにおけるフロント/ミドル/バックオフィスに、偏在するテクノロジーを最適化するための青写真において、IBORは重要な位置づけにある。
  • テクノロジー適用モデルの革新:維持管理、運用コストの高騰とリソースネックを背景に、ユーティリティモデルや従量制課金モデルの優位性は揺るがない。ソーシングモデル革新のゴールは、コスト削減だけではない。テクノロジーとシステムのサービス化は、自社のビジネス機能、データ、そしてITの最適化に止まらず、セルサイドとバイサイドの関係を遥かに超えた、資本市場全体のバリューチェーン革命を促す大きな潮流となりつつある。

今、市場参加者に必要な取り組みは、自社の事業モデルの正確な現状把握と、次世代テクノロジーの活用に向けたロードマップの最新化である。

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