日本は現在、投資家と株主の透明性に関して大きな転換期を迎えています。最近、スチュワードシップ・コードが改訂された一方で、株主開示に関する重要な会社法改正も控えています。こうした動きは市場関係者とって注視すべきものです。本稿では、これらの動向について押さえておくべきポイントを解説します。
スチュワードシップの新時代:透明性の強化
2025年初め、金融庁(FSA)はスチュワードシップ・コードの最新版(第三次改訂版)を公表しました。機関投資家がコードを受け入れるかどうかは任意ですが、本コードは投資家が日本企業と対話(エンゲージメント)する際の指針として非常に重要な役割を果たします。
スチュワードシップ・コード改訂のポイント
2014年に導入された本コードは、株主の議決権行使やエンゲージメント活動に関して、以下の原則を定めています。
2025年6月のコード改訂では「実質株主の透明性の向上」に関する原則が新たに導入されました。第三次改訂版では、機関投資家は投資先企業からの要請に応じて保有株式数について企業に説明し、またその要請への対応方針についてあらかじめ開示することが求められています。この改正により、企業が実質株主(株主名簿に載らないものの議決権を持つ株主)を把握しやすくすることを目的としています。
株主開示制度の法制化に向けた動向
スチュワードシップ・コードの改訂も重要ですが、株主開示の法制度の面で、大きな変化が間もなく起こる可能性があります。
2025年1月、経済産業省(METI)は、新たな株主開示制度の創設を提案する、「会社法改正に関する報告書」を公表しました。この報告書では、会社法改正の方向性として、企業と株主の双方からの情報開示を通じて両者のエンゲージメントを促進する仕組みが提案されています。具体的には、企業が実質株主に関する一定の情報を取得できる制度を整備することが盛り込まれています。
これを受けて、法務省の法制審議会は2025年4月から会社法改正に向けた検討を開始しました。現時点では、法改正の時期は明らかになっていませんが、将来的に企業が特定の実質株主の情報を取得できる新制度が設けられる見込みです。
なぜ重要なのか
こうした法改正は全て、日本市場の公正性と透明性をより高めることを目的としています。日本株に対する海外投資家やアクティビスト・ファンドの関心が高まる中、規制当局は全ての関係者が、明確かつ適時なルールに従って行動することを求めています。企業や投資家の双方に求められるのは、より詳細で迅速かつ公開性の高い株式保有情報の開示です。
ブロードリッジの取り組み ― 日本市場における透明性強化の支援
ブロードリッジは、こうした規制の変化に対応しつつ、日本における株主透明性向上に資するベストプラクティスを提供するため、日本の規制当局や市場関係者との協議を重ねています。規制当局や業界関係者と連携し、グローバルで培った知見を活かし、日本市場特有のニーズに即したソリューションを 。
ブロードリッジの支援:Broadrige Investor Insight (BII)を活用した新規性への対応
発行体企業にとっては、新たな法律は株主構成分析の要件を強化し、実質株主に該当するすべての個人を登録する義務を課するため、先を見越した準備が重要です。
Broadridge Investor Insights (BII):新制度への対応を支えるソリューション
新制度下で、発行会社に求められるのは「実質株主の構造把握」「情報の正確な管理と開示」です。これに対応するため、現在欧米で展開しているBIIは、以下の機能を提供できます。
これにより、単なる法令遵守にとどまらず、透明性の強化、市場からの信頼向上、ビジネスインテリジェンスの獲得につなげることが可能となっています。
Broadridge Investor Insightsがコンプライアンスや市場での地位をどのように強化できるかに関する詳細については、こちらをご覧ください(英語):Broadridge Investor Insights Video
または担当者までご連絡ください:ブロードリッジ、コーポレートガバナンス&インサイツ、ジェネラル・マネージャー、マリオ・シアノ
次に取るべきアクション
機関投資家、資産運用会社、上場企業のいずれにとっても、報告プロセスの見直しを行うべき時期がきています。コンプライアンスや法務チームが、改訂版のスチュワードシップ・コードに対応できるよう準備を整え、株主開示制度の動向を注視することが望まれます。
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